【お金にまつわる落語】猫の皿

2019年6月9日

どんな時代でも、どんな商売でも「目が利く」ということはとてつもなく強力な武器になるものです。

この噺は「目利き」の男が欲をかきすぎたが故に、
更なる上手に足をすくわれるというもので結構痛快な噺になります。

あらすじ

旗師(はたし)という、無店舗の古美術仲買人を営んでいたある男は、地方に出かけて骨董品を見つけては所有者を言葉巧みに騙して、それを安値で買い叩き、高値で都市(江戸ないし大坂)の蒐集家に売りつけて生計を立てていた。

男は宿場町へ通じる街道沿いの茶店で、茶を飲みながら店主と世間話をしていた。

ふと店の隅で餌を食べる飼い猫を見ていると、猫が食べている餌受け皿が名品の「絵高麗の梅鉢」(演者によっては、他に「柿右衛門の逸品」などとする)であることに気づいた。

男はこれを買い叩こうと企み、何気ない風を装って猫を抱き寄せ、「ご亭主の飼い猫がどうにも気に入った。3両で是非私に引き取らせてはくれないか」と持ちかけた。

店主が承諾すると男は、「猫は、皿が変わると餌を食べなくなると聞く。この皿も一緒に持っていくよ」と、何気なく梅鉢を持ち去ろうとした。

店主はそれを制し、「猫は差し上げますが、これは捨て値でも300両、という名品でございますから売るわけにまいりません」と告げた。

~ サゲ(落ち)~

驚いた男が「何だ、知っていたのか。これが名品とわかっていながら、何でそれで猫に餌をやっているのだ」と尋ねると、店主いわく、

「はい、こうしておりますと、時々猫が3両で売れるのです」。


Wikipediaより引用

この噺を聞いて思うこと

この噺では旗師が一杯食わされる役回りですが、

  • インターネットもない時代に名品の情報を(きっと数多く)持っている
  • 猫の餌皿にまで注目して一発で名品と見分ける

という点を冷静に評価するとかなりの猛者であることがわかります。

そして目利きのスキルとは感覚等の先天的な能力ではなく、膨大な知識と経験の積み重ねで実現されるため、旗師は相応の積み重ねを経ていることが伺えます。

噺さえ違えばまっとうな役もはれるキャラなのにw

さて、目利きのスキルは「放置されている名品」を拾いあげるだけではなく

「名品に見えるまがい物」を回避することもできるので、正に「攻防一体の万能スキル」と言えます。

米国株式投資においても、こんな目利きのスキルさえあれば、「放置されている名品(優良銘柄)」を拾いあげることや、数多のリスクを回避することも容易いでしょう。

だが、やはりこんなスキルを得るためには、
相応の(ウォーレン・バフェットクラスの)積み重ねが必要とされるため、
スキルを持たない富松は「放置されていない名品」を分散して買って永久に持つことにするのでしたw

愚直に積み重ねるしかない!!