生存者バイアスにご用心

2019年6月9日

情報の本質を見極めろ!!

我々は毎日膨大な情報の波の中で生きています。

世に溢れかえる情報には参考になるものとならないものが混在しており、我々はこの中から自分にとって有益な情報を得ようと選別を繰り返すわけです。

今回は人が陥りやすい「誤った情報の捉え方」に関するお話です。

ここで一つ、投資の神様ウォーレン・バフェットのたとえ話を紹介します。

「全米コイントス大会」

二億二千五百万人の米国民がそれぞれ1ドルを賭け金として大会に参加します。

ルールは簡単。毎朝一回2人一組でコイントスをします。

コインの裏表を当てた者が、外した者から賭け金を徴収し、翌朝、勝った者同士でまたコイントスを行います。

これを繰り返したところ、10日目に10回連続して当てた者が22万人となり、それぞれが約1000ドルを獲得します。

バフェットはこう記しています。

1000ドルを手にした者は謙虚に振る舞おうとするかもしれないが、カクテルパーティーで魅力的な異性に出会ったりすると、自分がどのようなテクニックを用い、どんなすばらしい洞察力を働かせてコイントスで成功を収めたか、自慢してしまうことがある。

さらに10日間続けると、20回連続で当てた者が215人残り、それぞれ約100万ドルを手にする。すると、これらの者は「毎朝30秒働いて、20日間で1ドルを100万ドルに増やす方法」といったタイトルの本を出版し、講演会のチケットを売るのだ。

どこかで聞いたような話ではないだろうか。

「生存者バイアス」という言葉があります。

これは脱落していった者を評価せずに、勝ち残った者だけを評価してしまう思考バイアス(偏った考え方)の事を指します。

先程のコイントス大会の本質を考えた場合、普通は発生分布が広域の事象(敗者)に着目するため、「(幸運な一部の勝者を除いた)ほぼ全員が負けるゲーム」という常識的な結論にたどり着きます。

しかし、生存者バイアスがかかると
まるで勝った人が「正しいコイントス」でもしたかのように「なぜ勝てたのか?」や、ありもしない「勝ち残る法則」を分析しはじめるのです。

勝ち残った人は「単なる幸運な人」なので分析自体無駄な行為です。

サイコロを振って6が出たら「なぜ6が出たのか」を考えるのと同じくらい無駄です。

しかし、生存者バイアスがかかっている状態だと、常識的な判断が難しくなり、このコイントス大会を「ほぼ全員が負けるゲーム」から「法則さえ見つかれば大金が掴めるゲーム」へと変貌を遂げさせてしまうのですw

ここで、また一つ生存者バイアスを利用した詐欺の話を紹介します。

とある証券マンの詐欺

ある証券マンが100人の顧客に電話をかけます。

顧客50人に対しては「A社の株価は上がります」と伝え、

残りの顧客50人に対しては「A社の株価は下がります」と伝えます。

翌日、A社の株価は上がりました。

すぐさま証券マンは運良く正解を伝えられた50人の顧客に明日の株価動向を伝えるために電話をかけます。

25人には「上がる」と伝え、残る25人には「下がる」と伝えるのです。

翌日、A社の株価は下がりました。

これを繰り返す事で

三回目の電話では12人が

四回目の電話では6人が

五回目の電話では3人が「幸運なる連勝の予言」を受け取ることになります。

ここまでくると残った3人にとって証券マンはまるで神様のように見えている事でしょう。

最後に証券マンは3人にこう伝えます。

「私に1000万円預けてくれれば一年で3倍に増やしてみせますよ」と。

3人は大急ぎで1000万円を用意し、証券マンに渡します。

翌日、証券マンは3000万円と共にいなくなりました。

「すがるヤツからカモられる。」の典型的なパターンですねw

常識のある人や相場を知っている投資家はこの手の詐欺には引っかかりません。

「未来なんて誰にも分からない」という常識や、「(トレンドはあるものの)株価というものは法則性なくランダムウォークする」という常識を知っているからです。

誰もが手っ取り早くお金持ちになる事を望みます。

そして目の前で奇跡(のような勝ち)を見せられると、あやかりたいと思ってしまうものです。

でも重要なのは「常識的且つ、多角的に事実を見る」ことです。

富松は本やネットから知識を得ることが多いですが、投資系の情報に関しては過去の歴史や事実を元に話が展開されるようなものを好みます。

また、一つのお題目に対して(著者の異なる)複数の本を読むことで、著者の主観に染まった思考にならないように気をつけています。

そして奇跡が起こる事を期待せずに、自分の足で一歩ずつ進む事を肝に銘じているのです。

・・・神様!
お願いします!めっちゃ儲けさせて!w

雑記

Posted by tomimatsu