配当金再投資戦略とADR銘柄の相性について
ADRって何ぞや?
富松は普段から米国企業への投資をしていますが、実は米国株式市場を通じて米国以外の企業へ投資することも可能です。
米国以外の企業の株式の所有権を証券化し、米国株式市場に上場させたものをADR(American Depositary Receipt:米国預託証券)と言い、米国企業の株式売買と同様に取引をすることが可能です。
一般的な株式との違い
ADRの本質は「株式の所有権」なので厳密には通常の株式とは異なるものですが、「株主の権利(議決権行使)」や「配当金の発生」等も含め投資家側の視点で見ると通常の株式と同等の効果がある資産と言えます。
しかし、ADRという証券は配当金を貰う時に、(通常の株式との)決定的な違いが出てきます。
ポイントは・・・
ADR銘柄が払い出す配当金にかかる税率は現地(そのADR銘柄の所属する国)の税率が適用される
ってことです。
つまり、イギリス、オーストラリア、ブラジル、シンガポール、香港等の「配当金に対する源泉税率がゼロの国」のADR銘柄を購入した場合、米国側での配当金課税(10%)は無くなるわけです(でも日本側での配当金課税は残るので20%はむしり取られるよ)。
通常、米国株式の配当金にかかる税率は米国側で10%引かれ、日本側で残りに対して20.315%が課税されます。
つまり、実質税率は、28.2835%になります。
しかし(配当金課税ゼロの国の)ADR銘柄の場合、日本側でかかる20.315%のみで済むことになるのです。
ADRの性質を利用した戦略
(配当金課税がゼロの)ADR銘柄に投資した場合、米国側での配当金課税が発生しないのは前述のとおりです。
しかし、日本側でかかる20%の課税はうっとおしく残ったままですw
この日本側でかかる配当金課税をも回避するためには「一般NISA枠でADR銘柄を買う」という手法が考えられます。
こうすることで、ADRによって米国からの配当金課税を回避し、且つ一般NISA枠によって日本からの配当金課税を回避するが可能になるので配当金にかかる税金を完全にゼロにできるわけです。
この「どこからも税金が取られない」という状況こそが最もADRが輝く瞬間であるわけですww
配当金再投資戦略を阻む障壁の一つは「配当金にかかる税金」であるためこういった戦略も有効かと思われます。
でも一般NISA自体が期間限定(5年)というしょぼい制度だから戦略の有効期間も限定的なのが悲しいところですww
ADRで配当利回りの高い企業ってどこよ?
以下に配当利回りの高いADR銘柄(現地配当金課税がゼロのところ)を記載します。
(以下は執筆時点の情報です。)
銘柄 (ティッカー) | 国 | 配当利回り(%) |
ウエストパック銀行 (WBK) | イギリス | 12.29 |
ロイヤルダッチシェル (RDSB) | イギリス | 12.60 |
ボーダフォン (VOD) | イギリス | 7.06 |
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ (BTI) | イギリス | 7.13 |
ナショナル・グリッド (NGG) | イギリス | 5.39 |
チャイナモバイル (CHL) | 香港 | 4.13 |
ユニリーバ (UL) | イギリス | 3.51 |
高配当でリストアップするとほとんどイギリスの企業ですねww
昨今の情勢で減配に至り、配当利回りが少なくなってしまった企業を除外した結果、かなり寂しいリストになってしまいましたが、日本でも名前の知れた企業がランキングされています。
コロナ以前はもっと賑やかだったのよ・・・
まとめ
配当金を重視する投資家にとって邪魔クサい税金を極力さけようとした場合、ADR銘柄も選択肢の一つに考えられると思います。
但し、米国企業のような強力なワイドモートが構築できている企業はそう多くはないため、高配当が今後も維持できるかどうかという点ではシビアな評価をせざるえない状況で、主力で保有するのは若干リスクが高いように思えます。
サテライトとして少量の保有は面白そうですが、貴重な一般NISA枠を割いてまで保有するべきかは考え所ですねw
一般NISA枠はVOO, VYMで埋めているので持つなら特定口座でかな・・・
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