映画「ダム$マネー ~ウォール街を狙え~」を鑑賞してきました!
先日、映画「ダム$マネー ~ウォール街を狙え~」を鑑賞してきました。
本作は2021年(コロナ禍)にて実際に起こった騒動を元に制作された映画です。
「ゲームストップ(GME)」という米国のビデオゲーム小売企業の株を巡って起きた騒動で、割と最近の話なのでピンと来る人も多いかと思います。
今回は映画の感想と共に「ゲームストップ騒動」を振り返ってみようと思います。
ゲームストップ(GME)とは?
「ゲームストップ(GME)」とは米国株式市場に上場しているビデオゲーム小売企業です。
中古ソフトも取り扱っているため、GEOとか(富松の世代的には「わんぱくこぞう」とかw)をイメージすると近いかもしれません。
富松が米国株投資を開始した当初(5年前)は、配当利回りが異常に高く(確か10%近くあったような)、同社の株購入を考えた事もあったのですが、財務状況が芳しくなかったため株式購入を断念した企業になります。
子供の頃から中古ゲームソフト屋自体は好きなんだけど、利益目的で投資するとなるとチョットねぇ・・・w
実際に「ゲームソフトを店頭購入する」から「ダウンロード版を自宅で購入する」という選択肢を採る人が増えてきた時勢でもあったので実店舗ビジネスは斜陽になると考えていました。
ゲームストップ騒動の流れ
ゲームストップ(GME)株を巡る一連の騒動を時系列で書くと以下の流れになります。
- 元々、斜陽になりつつあった店頭でのビデオゲーム小売を主軸としていたゲームストップ(GME)の株価は低迷していた。
- コロナ禍になり、外出制限が課されることで更なる低迷が予測された。
- 前述の情勢から、ヘッジファンドのメルビンキャピタル、シタデル等はゲームストップ(GME)株のショート(売り)ポジションを大量保有することになる。
- 掲示板サイト「Reditt」の「WallStreetBets」(日本でいう「2ちゃんねる」の「株板」みたいなもの)で「俺達のゲームストップ(GME)を買い支えよう!!」というムーブメントが起き、多くの個人投資家が売買手数料無料アプリ「Robinhood」を使い、ゲームストップ(GME)株の大量購入が始まる。
- ゲームストップ(GME)株が急騰し、売買代金がアップル(AAPL)を上回る。
- ヘッジファンド(メルビンキャピタル、シタデル等)の損失が膨らむ。
- 売買手数料無料アプリ「Robinhood」の収益源はヘッジファンドからもたらされるものであるため、(おそらく圧力によって)「Robinhood」アプリ上からゲームストップ(GME)株の「買い」ボタンが押せなくなるw
- これによって大きな論争(結局、金持ちが市場を操作するのか!!)に発展する。
- 最終的にヘッジファンド(メルビンキャピタル)が多額の損失(運用資産の53%を失う)を出し、損切のためのショートポジションの解消(買戻し)により、株価がさらに暴騰(=踏み上げ、ショートスクイーズ)し、個人投資家側の大勝利となる。
2020年末に$18.84だったゲームストップの株価は、2021年1月末には$325で引け、1ヶ月で約17倍も暴騰したことになります。(↑のチャートは執筆時点のもので、株式分割(1/4)実行後のものになります。)
株を「買い」から入った場合、損失の最大値は「買値」で済みますが、「売り」から入った場合、損失の最大値は(株価が騰がり続ける限り)無限に拡大します。
ヘッジファンド側からしたらどれほど恐ろしかったことでしょう・・・。
売買手数料無料アプリ「Robinhood」の裏切り
この騒動の中で興味深いのは「株式売買の手数料無料」を打ち出し、庶民の味方のように思えた「Robinhood」がゲームストップ(GME)株の「買い」ボタンを押せなくすることで、ヘッジファンド側に便宜を図ったような動きをしたことです。
そもそも、手数料無料を謳う「Robinhood」がどのように収益を上げていたかというと、PFOF(ペイメント・フォー・オーダー・フロー)という仕組みを使ってヘッジファンドから報酬を得ていました。
PFOFとは「顧客からの売買注文をヘッジファンド等のマーケットメーカーに回すことで収益を得る」という手法です。
この手法による「収益の源泉」は2つあります。
1つ目はヘッジファンド側が「個人投資家達の売買情報」を得て、そのビッグデータをAI解析することで、自らのアルゴリズム取引の精度を高めるという、まさに情報が価値を持ち、それを金に変換させるという点。
2つ目は、個人投資家は売買手数料無料アプリ「Robinhood」を使うと、証券取引所ではなくPFOFの相手(ヘッジファンド等のマーケットメーカー)に注文を出すことになるので、「Robinhood」からのオーダーと証券取引所の情報をみて、取引の差額を稼ぐことができるという点。
例えば、A社の株を$100で買いたいRobinhoodユーザーと、$99で売りたい人を見つけ出し、その取引を成立させることで、差額の$1を儲ける、みたいな仕組みです。(その取引自体は機械的に行われ、一瞬で完了します。)
以上の点から「Robinhood」は収益源となるヘッジファンドを敵に回すわけにはいかず、圧力に屈してしまったのかなぁという感じです。
「Robinhood」の名前の由来が貴族に立ち向かう義賊ではあるものの、結局儲けているのは機関投資家などの「貴族」という点は皮肉か何かかな?w
映画の感想
さて、映画の感想ですw
実際に起こった出来事をそのまま映画にしているのでネタバレもヘッタクレもないのですが、騒動発生当時、富松はネットニュース(文字列)で動向を追っていたので、改めて映像化されることで当事者になったかのような臨場感を楽しめました。
株式市場は全員に開かれた公平な場であることは言うまでもありません。
しかし、巨額の資金を操るヘッジファンドの存在は、「小さな個人投資家」にとって強大な存在であり、戦っても勝てるわけはないというのが多くの人の見方です。
「ゲームストップ(GME)」株で起こった一連の騒動は、「巨大なヘッジファンド(金持ち) VS 小さな個人投資家達(持たざる者)」という構図で散々ネットニュースで報じられ、最終的に小さな個人投資家達(持たざる者)が勝利を収めるという結末により痛快な物語の幕引きがされますが、この騒動により巨万の富を築いた個人投資家もいれば、多くの資産を失った個人投資家もいるという点に何かを学ぶ必要があると思います。
「事実は小説より奇なり」
この言葉が、これほどしっくりくる映画というのも中々珍しいのかなと思いました。
こういった「祭り」には少額で参加することで、当事者になってみるのも面白いんじゃないかと改めて思いましたw
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません