ハイテク銘柄はなぜ株価変動幅が大きいのか?

直近の株高を牽引してきたハイテク銘柄。

上がるときは凄まじい上げ方をしますが、下がるときもまた凄まじい下げ幅を叩き出しますw

なぜでしょうか?

少し株価を決める要因を考えてみようと思います。

株価の構成要素を紐解く

株価というのは基本的には需給バランスで決まるのは常識です。

(買いたい人が多ければ株価は上がり、売りたい人が多ければ株価は下がります。)

では需給バランスを決める要因はなんでしょうか?

それは決算等から導き出される「現時点の企業価値」と市場参加者の持つ「将来の成長期待」です。

将来的に大きな成長が期待できるビジネスモデルを持つ企業の株は「現時点の企業価値」に対して「将来の成長期待」がプレミアムとして乗った価格が株価となります。

逆に期待が低ければその分だけ「現時点の企業価値」に近い株価になったり、そもそも存続すら危ぶまれる斜陽産業は「現時点の企業価値」を割り込む株価になる(ディスカウントされる)こともあるわけです。

ではここで、今を時めく急成長銘柄テスラ(TSLA)と富松の愛するコカ・コーラ(KO)の株価と収益を比較しようと思います。

テスラ(TSLA)はシリコンバレー発の自動車メーカーでハイテク技術を利用した次世代自動車の開発期待から株価が急成長した企業です。

テスラ(TSLA)の時価総額は執筆時点でコカ・コーラの時価総額を超えていますが、企業の収益自体はコカ・コーラの方が勝っています。

この現象を図(富松感覚)で示すと以下の通りです。

お気づきになりましたでしょうか?

コカ・コーラ(KO)の方が圧倒的に稼いでいるのにテスラ(TSLA)の方が「将来の成長期待」が高く、結果的に時価総額としてはテスラ(TSLA)が勝っています。

なぜテスラ(TSLA)の方が「将来の成長期待」が高いのでしょうか?

それはコカ・コーラ(KO)が飲料メーカーであり、テスラ(TSLA)がハイテク(自動車)企業だからです。

コカ・コーラ(KO)がどんなに頑張っても今の世界のあり方を変えるほどの変化や成長はないと多くの人は考えます。

なのでコカ・コーラ(KO)の成長もある程度想像できる(現実的な)範囲で考えられるわけです。

(なので株価も収益実態を大きく超えて伸びたりはしない)

しかし、ハイテク産業は10年, 20年前にはなかった製品やサービスが続々と生まれて、人々の生活をより便利にしているという事実(歴史)があり、多くの市場参加者はそうした「まだ見ぬ技術」の登場に期待します。

つまり、ハイテク産業の成長性というものは正確には想像できないのです。

(だから想像が行き過ぎる=期待が大きすぎる=実際の収益に対して株価が上がりすぎる)

実際、テスラ(TSLA)は「近々、無人のタクシーを作る」と宣言しており、自動運転技術やAIを使う事で可能な印象を抱かせます。

しかも、実現できた暁にはそれに付随した新しいビジネスが続々と出てくることで更なるイノベーションが期待できるわけです。

正に想像の世界では可能性は無限大ですww

但し、この「期待」というのは所詮人間の感情なので、何かをきっかけに市場参加者が失望するようなことがあればあっけなく崩れ去る可能性も高いのです。

一方、コカ・コーラの株価は実際の収益を元に現実的な成長期待で考えられているため株価の強度がテスラ(TSLA)のそれとは大きく異なると考えています。

あなたが欲しいのは何ですか?

投資の神様ウォーレン・バフェットは言いました。

Price is what you pay. Value is what you get.

価格はあなたが支払うもの。価値はあなたが手に入れるもの。

ウォーレン・バフェット

深いですね。

株価(価格)は我々投資家が支払うものです。

その対価として受け取る株(価値)が妥当なものなのか見極めることを

我々投資家は諦めてはいけないのです。

あなたがお金を払って手に入れようとしているモノは「企業価値」ですか?

それとも「市場参加者の期待」ですか?

常に自分に問い続ける命題です。

富松
富松