サラリーマンと不動産投資の相性が悪い理由

投資の中でも不動産投資(現物)というと以下のイメージを持たれる方が多いと思います。

  1. ローンを組んで物件を購入
  2. 購入した物件を誰かに貸して賃貸収入でローンを返済していく
  3. ローン完済後は物件が丸々手元に残り、賃貸収入で悠々自適な生活を送れる

とても耳障りのいい言葉が並びますが、サラリーマンが収入の複線化を図るために不動産投資に手を出して失敗するという話は珍しいものではありません。

今回は不動産投資(現物)の本質に関して考えてみようと思います。

1.ローンを組んで物件を購入

まず、一般的なサラリーマンで不動産を一括で購入できるほどの資金を保有しているケースは稀なので、大体ローンを組んで投資物件を購入するというのが主流になると思います。

現在は低金利でまとまった額が借り入れできるので「サラリーマンが自身の与信枠を利用して資産拡大を狙う」という投資手法はあながち間違ってはいません。

但し、ローンを組んだ時点でその投資は

「レバレッジをかけた投資と同じ」

と認識する必要があります。(高リスク)

要は「自分の手持ち以上の額を運用する行為」に相当するので、失敗すれば資産がゼロではなくマイナスになる(借金だけが残る)可能性があるため、失敗した場合のダメージは大きくなる傾向があります。(高リスク)

富松
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次に不動産を購入した時点で投資の基本である「リスクを下げるために投資対象を分散させる」ができていないことも認識すべきです。

例えば投資先を10に分散させた場合、その内の1つや2つ失敗したところで残りの投資先がカバーするため結果的に運用成績がプラスになるという分散投資の考え方は基本中の基本ですが、不動産投資の場合・・・

バリバリ「1点集中投資」になるので、1撃でゲームオーバーになる可能性があります。

レバレッジ(借金)かけて1点集中投資の時点で超高リスクな取引ですw

富松
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さて「レバレッジ&集中投資」で戦いに挑むとなった場合、もう勝つためには優良物件を探し出して購入するしかありません。

しかし、残念なことにサラリーマンの多くは不動産に対する市場調査や目利き、金額交渉という面において長けた人が多いわけではないので、仲介業者やセミナーなんかを介して言われるがまま物件購入に至ってしまったりするケースが多いと思われます。

そして相手も慈善事業じゃないので、そういった所を経由して購入した物件価格が市場価格より割高だったなんて事は別に珍しい話ではなくなってしまうのです。

どんなビジネスでも関わる中間業者が少ないほど、コストが削減できる(自分のリターンを増やせる)のは常識ですからね。

富松
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そもそも株の場合「自分が買いたい銘柄を好きに決められます」が、不動産投資の場合「まだ買い手の付いていない物件の中からしか選べない」という性質が、不動産投資そのものの難易度を高くしてしまっている要因と考えることができます。

もう少しマクロの視点で見ると、サラリーマンの与信枠というものは大体一定範囲内に収束するため、サラリーマンが参入しやすい不動産価格帯では不動産投資自体がレッドオーシャン化しやすく、本当に旨味のある物件に巡り合う確率が減ってしまう点も難易度上昇の一因であると思います。

サラリーマンが株をやっているとギャンブルと思われ、不動産投資をしていると凄いと思われがちですが「不動産投資の方が柔軟なリスクコントロールに対応しずらい」ことを考えると実態は逆であることが分かりますね。

2.賃貸収入でローンを返済

支払わなきゃいけないのはローンだけではありません。

固定資産税、修繕積立金、(管理業者入れるなら)管理手数料・・・

「表面利回り」に注視するものの、諸々の経費を見積もりに入れ忘れてしまい失敗するケースというのはよくある話だと思います。

「表面利回り」という言葉は「物件価格に対する家賃収入」を指す言葉なので、経費が含まれていないことに注意しないといけません。

確認すべきは経費の考慮が入った「実質利回り」です。

特に中古物件を運用する場合、購入直後に予定外のメンテナンス費用がかかってしまって赤字になることもありえるので一定のリスクマネジメントも必要となります。

それに常に入居者がいてくれる前提というのも非常に危ないと思います。

そもそも日本は人口減に歯止めがかからないし、テレワークが普及してきた昨今では住居の自由度(不動産の貸主から見たら競争度)が上がりつつあるからね。

富松
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当然、入居者がいない場合は本業(サラリーマン)の給料をローン返済に充てる必要が出てくるので、「豊かになるために投資していたはずなのに日々の生活が苦しくなった」というような状況も予測できるわけです。

よく不動産を運用する上で、「管理会社とサブリース契約を結んで家賃保証を付ければいい」と考える人もおりますが、家賃保証は永続的に保障されるものではなく、状況に応じて減額要求できてしまうため将来の家賃収入に対する保障にはならないという事も留意する必要があります。

3.ローン完済後は物件が丸々手元に残り、賃貸収入で悠々自適な生活を送れる

日本の不動産物件というのは基本的に築年数が長ければ長いほど安く査定されます。

例えば、3,000万円の物件をローンを組んで買った場合、ローン完済時点でローン総支払額4,500万円、物件評価額1,500万円という事態に陥るというのは別に珍しいことではありません。

まぁ日本というのは地震が多かったり、(四季の存在によって)気候変動が激しい国なので、建造物へのダメージ蓄積速度を考えると「築年数を基準に減価していく」というのは妥当な考え方かもしれませんが、ローン完済後の手元に残った不動産の資産価値が購入時を下回るというちょっと残念な状況は想定しておくべきです。

「物件の評価額が下がっても変わらず賃貸収入が得られるなら関係ない」と考えがちですが、「リフォーム含む各種メンテナンス費用の増加」、「ボロい物件の家賃は安いという消費者側の先入観」等、築年数と家賃収入(経費考慮)の連動性は無視できないと思います。

米国の場合、建築物の質を評価する文化であるため、築年数が長いほど評価額は上がるという日本と真逆の事象があるようです。(逆に新築物件ほど建物の不具合が表面化していないという解釈でリスクが大きいと判断されるみたいです。)

富松
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最大の問題点は流動性が低い事

最大の問題点は「不動産というアセットは流動性が低い」ということだと思っています。

長い人生の中で「まとまった現金が必要になったため、資産を現金化したい!」というタイミングはいつかは訪れると思います。(投資対象の乗り換え、生活費、相続等々・・・)

そんな時に不動産では出口戦略を考える際の難易度が非常に高くなると考えられます。

株の場合はクリック1発で売却できますが、不動産(現物)の場合はそもそも買い手が現れないと売却できませんし、運良く買い手が現れたとしても、市場の相場価格で売れるわけではなく「相手が了承する価格」でなければ取引が成立しません。(=希望通りの価格で売却できるわけではない。)

すぐに現金化したいなら、それなりに安く価格設定しないといけないからキツいよね。

富松
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まとめ

散々、ディスってきましたがw

結局、投資を行う上で「投資資金」、「運用に充てられる時間」というリソースが十分にないと投資の結果は失敗しやすいです。

そして不動産投資(現物)というものは株式投資と比べて要求されるリソースが段違いに大きいため多くのサラリーマンと相性が悪い事実は否めません。

じゃあ不動産投資は絶対に避けた方がいいのか?というと、決してそんなことはありません。

サラリーマンが不動産投資をする場合は「不動産投資信託(REIT)」を利用すればいいだけの話です。

不動産投資信託(REIT)とは、投資家から集めた資金で収益不動産を購入し、その不動産から得られる賃貸収入や売却益を投資家に分配する投資商品で、収益の上げ方自体は現物の不動産と同じですが、ペーパーアセットとして保有できるという点が最大の魅力となります。

REITは証券取引所に上場しているので株のように簡単に売買できますし、そもそも購入に必要な金額が数万円程度~となっているのでローンを組む必要もありません。(=レバレッジをかける必要がない)

また、REITは単一の不動産物件を運用するのではなく、複数の物件をまとめて運用しているので投資対象の分散効果も効いています。

購入対象も自分が買いたいREITを購入できるので商品選択の自由度が段違いに高いです。

種類も「オフィスビル」「物流施設」「商業施設」「住居」等様々なタイプから選んだり、組み合わせたりできるのでリスクコントロールもしやすいと思います。

また、自分で不動産を管理運用するわけではないので、REITを購入したら「保有するだけ」でいいというのも楽でいいですよねw

自分のリスク許容度に見合った投資商品を選択することが失敗しないための基本となるわけです☆

富松
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投資方針,雑記

Posted by tomimatsu