米国高配当ETF(VYM,HDV,SPYD)を比較してみよう
配当金は欲しいけど、個別銘柄への投資は(リスク回避の観点から)避けたい。
そんな時は高配当ETFを用いて手軽に分散投資をすることをおススメ致します。
ということで今回は(割と有名どころの)高配当ETFを比較してみようと思います。
10年、20年安心して保有し続けられる高配当ETFはどれだろう?
VYM
まずは富松も実際に投資しているVYMです。
VYMの正式名称は「バンガード・米国高配当株式ETF」です。
各種評価項目 | 内容 |
---|---|
ベンチマーク | FTSE High Dividend Yield Index |
経費率 | 0.06% |
基準価額 | 83.71$ |
分配金利回り | 3.53% |
運用会社 | バンガード社 |
「ベンチマーク」とは運用する上で基準として目指す指数(≒連動する指数)のことです。(例えばVOOの場合、ベンチマークはS&P500になります。)
「FTSE High Dividend Yield Index」というと全然聞き慣れない指数だと思いますが、ざっくり言うと「予想配当利回りが市場平均を超える銘柄(REIT除く)を時価総額加重平均で構成する指数」という感じになります。
VYMの構成銘柄数は400銘柄以上で、時価総額加重平均なので構成割合の多くは大型株で構成されています。
バンガード社の運用なので経費率も0.06%とかなり安いです。
実際に構成銘柄の上位10社は以下のようになっています。
社名 (ティッカー) | 構成比率(%) |
---|---|
Johnson & Johnson (JNJ) | 3.892 |
Procter & Gamble Co. (PG) | 3.236 |
JPMorgan Chase & Co. (JPM) | 2.964 |
Verizon Communications Inc. (VZ) | 2.411 |
Pfizer Inc. (PFE) | 2.167 |
AT&T Inc. (T) | 2.136 |
Merck & Co. Inc. (MRK) | 2.053 |
Intel Corp. (INTC) | 2.049 |
Cisco Systems Inc. (CSCO) | 2.026 |
Comcast Corp. Class A (CMCSA) | 1.964 |
VYMの良いところは単純に配当利回りの高い企業が対象になるわけではなく、時価総額の大きさも選定基準となるため、構成銘柄に大型株が多く組み込まれる点です。
米国における大型株は国内に限らず、国外でも収益性の高いビジネス展開をしている企業が多いので、長期で見た場合、ETFの分配金(インカムゲイン)だけでなく、値上がり益(キャピタルゲイン)もセットで狙えるというのが最大の魅力でしょうか。
以下は配当金再投資を行った場合のVYMとVOO(S&P500)の運用成績のバックテスト結果です。
結構長い期間でVYMの運用成績はVOO(S&P500)を上回っていることが分かります。
しかし、コロナショック後の回復に関してはVYMの旗色が悪くなっています。
理由は明白で、コロナショック後の回復を牽引しているのがハイテク企業であり、無配当や低配当利回りが多いハイテク企業はVYMの構成銘柄になっていないからです。
とはいえ長期での運用成績は割と安定していて、将来的に配当金生活を目指す人間にとってはVOO(S&P500)と同様「基本的にはほったらかしでOK」のスタイルで投資できるので富松は積極的に買い増ししているわけです。
富松お気に入りのETFです☆
HDV
お次はブラックロック社のHDVです。
HDVの正式名称は「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF」になります。
各種評価項目 | 内容 |
---|---|
ベンチマーク | モーニングスター配当フォーカス指数 |
経費率 | 0.08% |
基準価額 | 85.14$ |
分配金利回り | 4.02% |
運用会社 | ブラックロック社 |
HDVの最大の特徴は「モーニングスター配当フォーカス指数」をベンチマークにしているところです。
この指数をベンチマークにすると「配当加重平均」を元に構成銘柄が選定されることになります。
「配当加重平均」ってあまり聞き慣れないですね。
よく耳にする「時価総額加重平均」は「株価 × 株式発行数」で企業価値の大きい企業ほど構成割合の多くを占める考え方になります。
一方、「配当加重平均」は「1株あたりの配当金 × 株式発行数」で支払い配当総額が多い企業ほど構成割合の多くを占める考え方になるわけです。
配当金は企業の利益が源泉になることを考えれば、「配当加重平均」で選定される企業は「よく稼いでいる企業」ということになります。
HDV構成銘柄の上位10社は以下の通りです。
社名 (ティッカー) | 構成比率(%) |
---|---|
AT&T Inc. (T) | 9.31 |
EXXON MOBIL CORP (XOM) | 8.15 |
Johnson & Johnson (JNJ) | 7.14 |
Verizon Communications Inc. (VZ) | 6.86 |
Pfizer Inc. (PFE) | 5.94 |
CHEVRON CORP (CVX) | 5.79 |
Merck & Co. Inc. (MRK) | 4.25 |
COCA-COLA (KO) | 4.16 |
PEPSICO INC (PEP) | 3.63 |
Cisco Systems Inc. (CSCO) | 3.58 |
HDVは構成銘柄の数が約80銘柄程度とVYMの400銘柄と比較すると分散がかなり少ないイメージがありますが、ベンチマークとしている指数が優秀な点と年4回銘柄の組み換えを行っているので構成銘柄の鮮度が高い状態で維持されるのが魅力だと思います。
但し、銘柄組み換えの回数が多いということは
①銘柄の組み換え(売買)コストが多くなる
②構成銘柄がコロコロ変わって落ち着きが無い
という面もあり、結構好き嫌いが分かれるETFだとは思います。
SPYD
最後はSPYDです。
SPYDの正式名称は「SPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式ETF」です。
SPYDは高配当ETFの中でも抜群に高い分配金利回りを誇るETFです。
また、基準価額も1口が30ドル以下なので割と買いやすい印象を受けます。
各種項目 | 値 |
---|---|
ベンチマーク | S&P 500 High Dividend Index |
経費率 | 0.07% |
基準価額 | 28.91$ |
分配金利回り | 5.90% |
運用会社 | ステート・ストリート |
分配金利回りの高さの秘密は、ベンチマークとしている「S&P 500 High Dividend Index」に起因しています。
この指数は「S&P500の構成銘柄の内、配当利回り上位80社のパフォーマンスに連動する指数」で、SPYDはこの指数の対象となった80銘柄に対して「均等分散で投資する」ETFになります。
ETFの分配金利回りの高さはとても魅力的なんですが、「単純に配当利回りの高い順に並べて上位80社に均等分散投資」というスタイルに若干の危うさを感じますw
なぜなら「配当利回りが高い」というのは「安定して稼いでいる企業」とは限らないからです。
「配当利回りが高い」企業というのは「何らかの事情」で株価が下がっている(または上がらない)ために配当利回りが高くなってしまっているという企業が多いのです。
つまり「訳ありの銘柄」ということです。
このETFは「常に訳ありの銘柄に投資し続ける」性質であるため、保有し続けるには中々の胆力が試されると思いますw
分配金の利回りはマジで素晴らしいんだけどね・・・
このETFの性質は値下がりした銘柄を買う「逆張り」戦略に近いですが、該当銘柄の株価が回復して配当利回りが下がったらSPYDの構成銘柄から外れてしまうので長期で見ると「逆張り」戦略程のトータルリターンは期待できないと考えます。
一応、構成銘柄の1部を見てみましょうw
社名 (ティッカー) | 構成比率(%) |
---|---|
Williams Companies Inc. | 1.41 |
Xerox Holdings Corporation | 1.41 |
Ventas Inc. | 1.40 |
Hanesbrands Inc. | 1.38 |
Leggett & Platt Incorporated | 1.38 |
Federal Realty Investment Trust | 1.37 |
Simon Property Group Inc. | 1.37 |
CF Industries Holdings Inc. | 1.37 |
PPL Corporation | 1.36 |
Iron Mountain Inc. | 1.35 |
不勉強だからかゼロックスとアイアンマウンテン以外は知らないww
まとめ(各ETFの成績を比較してみる)
ではでは、VYM, HDV, SPYDを運用成績を比較してみます。
以下は配当金再投資を前提とした場合のバックテスト結果です。
VYMとHDVは結構いい勝負してますね☆
一方、SPYDは(コロナショック時の)最大ドローダウンが凄まじく、回復も一番遅いダメダメな感じになっちゃってます。
一応この現象にも理由があります。
以下に各ETFのセクター別構成比率を記載します。
セクター | VYM | HDV | SPYD |
---|---|---|---|
ヘルスケア | 15.0 % | 21.94 % | 2.44 % |
エネルギー | 6.2 % | 19.65 % | 12.26 % |
通信 | 4.7 % | 16.19 % | 7.50 % |
生活必需品 | 13.9 % | 10.04 % | 4.98 % |
公益事業 | 9.2 % | 9.88 % | 10.80 % |
資本財・サービス | 10.0 % | 9.29 % | – |
情報技術 | 10.3 % | 6.80 % | 8.71 % |
金融 | 18.7 % | 4.08 % | 23.58 % |
素材 | 3.8 % | 0.84 % | 6.37 % |
一般消費財・サービス | 8.2 % | 0.73 % | 5.21 % |
不動産 | – | – | 18.15 % |
今回、コロナショックと同時期に原油安になったのは記憶に新しいところですが、SPYDはこの時期ボロボロだった金融、エネルギー、不動産セクターの構成比率が結構高いんですよね。
つまりコロナショックで全員倒れた後に、SPYDだけ追加でぶん殴られたわけですw
結局コロナショック後、SPYDの分配金は減配され基準価額も下がることになりました。
利回りを求めるのことも重要ですが、利回りだけに着目してしまうと短期的な視点になってしまいます。
(ベンチマークを確認して)長期に渡り安心して保有し続けられるかどうかという点も重要だと思いますね。
安心感でいうとVYMやHDVに軍配が上がりそうだね。
とまぁここまでダラダラ書いてみましたが、
一口に「高配当ETF」といっても調べてみると色々な性質のものがあることがわかって面白いですね。
投資の仕方は人それぞれなので、一概にどれが良くてどれがダメということもありません。
ですがやはりETFの性質を調べて、自分の投資スタイルにフィットするかどうかは確認する必要があるということを身に沁みて感じました。
やっぱり富松はVYMに投資し続けます!!
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