米国高配当ETF(VYM,HDV,SPYD)を比較してみよう

2020年8月20日

配当金は欲しいけど、個別銘柄への投資は(リスク回避の観点から)避けたい。

そんな時は高配当ETFを用いて手軽に分散投資をすることをおススメ致します。

ということで今回は(割と有名どころの)高配当ETFを比較してみようと思います。

10年、20年安心して保有し続けられる高配当ETFはどれだろう?

富松
富松

VYM

まずは富松も実際に投資しているVYMです。

VYMの正式名称は「バンガード・米国高配当株式ETF」です。

各種評価項目内容
ベンチマークFTSE High Dividend Yield Index
経費率0.06%
基準価額83.71$
分配金利回り3.53%
運用会社バンガード社
執筆時点の情報です。

 

「ベンチマーク」とは運用する上で基準として目指す指数(≒連動する指数)のことです。(例えばVOOの場合、ベンチマークはS&P500になります。)

「FTSE High Dividend Yield Index」というと全然聞き慣れない指数だと思いますが、ざっくり言うと「予想配当利回りが市場平均を超える銘柄(REIT除く)を時価総額加重平均で構成する指数」という感じになります。

VYMの構成銘柄数は400銘柄以上で、時価総額加重平均なので構成割合の多くは大型株で構成されています。

バンガード社の運用なので経費率も0.06%とかなり安いです。

実際に構成銘柄の上位10社は以下のようになっています。

社名
(ティッカー)
構成比率(%)
Johnson & Johnson
(JNJ)
3.892
Procter & Gamble Co.
(PG)
3.236
JPMorgan Chase & Co.
(JPM)
2.964
Verizon Communications Inc.
(VZ)
2.411
Pfizer Inc.
(PFE)
2.167
AT&T Inc.
(T)
2.136
Merck & Co. Inc.
(MRK)
2.053
Intel Corp.
(INTC)
2.049
Cisco Systems Inc.
(CSCO)
2.026
Comcast Corp. Class A
(CMCSA)
1.964
有名どころが並びます。

 

VYMの良いところは単純に配当利回りの高い企業が対象になるわけではなく、時価総額の大きさも選定基準となるため、構成銘柄に大型株が多く組み込まれる点です。

米国における大型株は国内に限らず、国外でも収益性の高いビジネス展開をしている企業が多いので、長期で見た場合、ETFの分配金(インカムゲイン)だけでなく、値上がり益(キャピタルゲイン)もセットで狙えるというのが最大の魅力でしょうか。

以下は配当金再投資を行った場合のVYMとVOO(S&P500)の運用成績のバックテスト結果です。

なかなか健闘してますね☆

 

結構長い期間でVYMの運用成績はVOO(S&P500)を上回っていることが分かります。

しかし、コロナショック後の回復に関してはVYMの旗色が悪くなっています

理由は明白で、コロナショック後の回復を牽引しているのがハイテク企業であり、無配当や低配当利回りが多いハイテク企業はVYMの構成銘柄になっていないからです。

とはいえ長期での運用成績は割と安定していて、将来的に配当金生活を目指す人間にとってはVOO(S&P500)と同様「基本的にはほったらかしでOK」のスタイルで投資できるので富松は積極的に買い増ししているわけです。

富松お気に入りのETFです☆

富松
富松

HDV

お次はブラックロック社のHDVです。

HDVの正式名称は「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF」になります。

各種評価項目内容
ベンチマークモーニングスター配当フォーカス指数
経費率0.08%
基準価額85.14$
分配金利回り4.02%
運用会社ブラックロック社
執筆時点の情報です。

 

HDVの最大の特徴は「モーニングスター配当フォーカス指数」をベンチマークにしているところです。

この指数をベンチマークにすると「配当加重平均」を元に構成銘柄が選定されることになります。

「配当加重平均」ってあまり聞き慣れないですね。

よく耳にする「時価総額加重平均」「株価 × 株式発行数」企業価値の大きい企業ほど構成割合の多くを占める考え方になります。

一方、「配当加重平均」「1株あたりの配当金 × 株式発行数」支払い配当総額が多い企業ほど構成割合の多くを占める考え方になるわけです。

配当金は企業の利益が源泉になることを考えれば、「配当加重平均」で選定される企業は「よく稼いでいる企業」ということになります。

HDV構成銘柄の上位10社は以下の通りです。

社名
(ティッカー)
構成比率(%)
AT&T Inc.
(T)
9.31
EXXON MOBIL CORP
(XOM)
8.15
Johnson & Johnson
(JNJ)
7.14
Verizon Communications Inc.
(VZ)
6.86
Pfizer Inc.
(PFE)
5.94
CHEVRON CORP
(CVX)
5.79
Merck & Co. Inc.
(MRK)
4.25
COCA-COLA
(KO)
4.16
PEPSICO INC
(PEP)
3.63
Cisco Systems Inc.
(CSCO)
3.58
やっぱり有名どころが並びますw

 

HDVは構成銘柄の数が約80銘柄程度とVYMの400銘柄と比較すると分散がかなり少ないイメージがありますが、ベンチマークとしている指数が優秀な点年4回銘柄の組み換えを行っているので構成銘柄の鮮度が高い状態で維持されるのが魅力だと思います。

但し、銘柄組み換えの回数が多いということは

①銘柄の組み換え(売買)コストが多くなる

②構成銘柄がコロコロ変わって落ち着きが無い

という面もあり、結構好き嫌いが分かれるETFだとは思います。

富松
富松

SPYD

最後はSPYDです。

SPYDの正式名称は「SPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式ETF」です。

SPYDは高配当ETFの中でも抜群に高い分配金利回りを誇るETFです。

また、基準価額も1口が30ドル以下なので割と買いやすい印象を受けます。

各種項目
ベンチマークS&P 500 High Dividend Index
経費率0.07%
基準価額28.91$
分配金利回り5.90%
運用会社ステート・ストリート
執筆時点の情報です。

 

分配金利回りの高さの秘密は、ベンチマークとしている「S&P 500 High Dividend Index」に起因しています。

この指数は「S&P500の構成銘柄の内、配当利回り上位80社のパフォーマンスに連動する指数」で、SPYDはこの指数の対象となった80銘柄に対して「均等分散で投資する」ETFになります。

ETFの分配金利回りの高さはとても魅力的なんですが、「単純に配当利回りの高い順に並べて上位80社に均等分散投資」というスタイルに若干の危うさを感じますw

なぜなら「配当利回りが高い」というのは「安定して稼いでいる企業」とは限らないからです

「配当利回りが高い」企業というのは「何らかの事情」で株価が下がっている(または上がらない)ために配当利回りが高くなってしまっているという企業が多いのです。

つまり「訳ありの銘柄」ということです。

このETFは「常に訳ありの銘柄に投資し続ける」性質であるため、保有し続けるには中々の胆力が試されると思いますw

分配金の利回りはマジで素晴らしいんだけどね・・・

富松
富松

このETFの性質は値下がりした銘柄を買う「逆張り」戦略に近いですが、該当銘柄の株価が回復して配当利回りが下がったらSPYDの構成銘柄から外れてしまうので長期で見ると「逆張り」戦略程のトータルリターンは期待できないと考えます。

一応、構成銘柄の1部を見てみましょうw

社名
(ティッカー)
構成比率(%)
Williams Companies Inc.1.41
Xerox Holdings Corporation1.41
Ventas Inc.1.40
Hanesbrands Inc.1.38
Leggett & Platt Incorporated1.38
Federal Realty Investment Trust1.37
Simon Property Group Inc.1.37
CF Industries Holdings Inc.1.37
PPL Corporation1.36
Iron Mountain Inc.1.35
し、知らないとこばっかりだww

不勉強だからかゼロックスとアイアンマウンテン以外は知らないww

富松
富松

 

まとめ(各ETFの成績を比較してみる)

ではでは、VYM, HDV, SPYDを運用成績を比較してみます。

以下は配当金再投資を前提とした場合のバックテスト結果です。

コロナショックまでは調子がよかったSPYD・・・

 

VYMとHDVは結構いい勝負してますね☆

一方、SPYDは(コロナショック時の)最大ドローダウンが凄まじく、回復も一番遅いダメダメな感じになっちゃってます。

一応この現象にも理由があります。

以下に各ETFのセクター別構成比率を記載します。

セクターVYMHDVSPYD
ヘルスケア15.0 %21.94 %2.44 %
エネルギー6.2 %19.65 %12.26 %
通信4.7 %16.19 %7.50 %
生活必需品13.9 %10.04 %4.98 %
公益事業9.2 %9.88 %10.80 %
資本財・サービス10.0 %9.29 %
情報技術10.3 %6.80 %8.71 %
金融18.7 %4.08 %23.58 %
素材3.8 %0.84 %6.37 %
一般消費財・サービス8.2 %0.73 %5.21 %
不動産18.15 %

今回、コロナショックと同時期に原油安になったのは記憶に新しいところですが、SPYDはこの時期ボロボロだった金融、エネルギー、不動産セクターの構成比率が結構高いんですよね。

つまりコロナショックで全員倒れた後に、SPYDだけ追加でぶん殴られたわけですw

富松
富松

結局コロナショック後、SPYDの分配金は減配され基準価額も下がることになりました。

利回りを求めるのことも重要ですが、利回りだけに着目してしまうと短期的な視点になってしまいます。

(ベンチマークを確認して)長期に渡り安心して保有し続けられるかどうかという点も重要だと思いますね。

安心感でいうとVYMやHDVに軍配が上がりそうだね。

富松
富松

とまぁここまでダラダラ書いてみましたが、

一口に「高配当ETF」といっても調べてみると色々な性質のものがあることがわかって面白いですね。

投資の仕方は人それぞれなので、一概にどれが良くてどれがダメということもありません。

ですがやはりETFの性質を調べて、自分の投資スタイルにフィットするかどうかは確認する必要があるということを身に沁みて感じました。

やっぱり富松はVYMに投資し続けます!!

富松
富松

 

銘柄分析,雑記

Posted by tomimatsu