「分散」の本質を理解しよう
投資における基本の1つは「分散」です。
分散することで投資先の1つが思ったような成長を見せなかった場合や、投資先が破綻してしまった場合に大きなダメージを受けないようにする施策の一つです。
しかし、投資の神様であるウォーレン・バフェットは以下のように発言しております。
分散とは無知に対するリスク回避だ。だから勝手知ったる者にとって分散手法はほとんど意味を成さない。
ウォーレン・バフェット
実はこの「分散」という考え方は、富松のように「投資先への理解が完全ではない人」にとっては有効な投資手法ではあるものの、投資先への研究ができている人にとってはパフォーマンスを落とす手法になるのです。
なので、バフェット自身は個別銘柄にガンガン投資していますが、妻への遺言としては「資産運用は運用コストの低いS&P500インデックスファンドで運用するように」と記しています。
謎の種を手に入れたら
少し、たとえ話をしてみます。
あなたがとある商人から革袋に入った謎の種(100粒くらい)を手に入れたとします。
あなたはその種が何の植物の種か分からず(調べる手段もなく)、商人も教えてくれませんでした。
限られた期間内でその種から収穫(花なのか果実なのか)を得ようと考えた場合、
「植える場所」を分散させ、「植える時期」を分散させ、「育て方(水の量等)」も何パターンかに分散させて育てることになるかと思います。
結果的に、収穫に結びつく種と、収穫に結びつかなかい(枯れてしまった)種とが出てくるわけですが、何も得られない可能性は分散の度合いによって軽減できることになります。
これがリスク分散ということです。
一方で、その種が何の植物か知っており、育成方法も熟知しているのであれば、育成方法を分散させる必要は全くなく、決まった場所、決まった時期、決まった育て方で全ての種を育てれば、(枯らせてしまう種は無くなるので)種から得られる収穫は最大化できることになります。
企業への投資も同様で「その企業をよく理解している人」にとっては分散投資をするメリットは少なくなるのです。
実際の金融商品でも結果は出ているよ
「分散の度合い」は広ければ広いほどリターンを悪化させます。
以下に3つのETF(VOO, VTI, VT)のトータルリターンを比較してみた結果を記載します。
ちなみに各ETFは以下の分散レベルとなります。
- VOO:米国企業の時価総額上位500社(S&P500)に分散
- VTI:小型株も含む全米国企業の95%以上に分散
- VT:全世界47か国の企業に分散
VOO(S&P500)が一番分散が狭く、VTI(全米)、VT(全世界)と続くにつれ分散が広くなります。
2011年から現在に至るまでのパフォーマンスをグラフで表すと以下の通りで、米国が世界経済の牽引役であったため、分散が狭い(VOO)ほど高いリターンとなっており、分散が広いVT(全世界)なんかはリターンで大きく劣後しているわけです。
分散を広げると、足を引っ張る企業もその分多く含まれるので当然の結果なんですが。
話は戻りますが、分散とは「無知に対するリスクヘッジ」です。
世界中の国の中でどの国が経済成長を牽引するか分からない人は「世界」全体に投資したらいいと思います。
米国でどの企業が目覚ましい成長を遂げるか分からない人は「米国」全体に投資したらいいと思います。
S&P500の内、どの企業が更なる成長を見せてくれるのか分からない人は「S&P500」全体に投資したらいいと思います。
投資先の企業分析がちゃんとできている人や、未来を見通せる超能力者は個別株に投資したらいいと思います。
分散の度合いは「リスク低減」との引き換えに「リターン」を蝕むので、「自分がどこまで理解しているか」によって分散のレベルを絞らないと期待するほどのリターンは得られないと思います。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません