米国株の牽引役交代か?!
今月に入ってから富松の保有するバンガードS&P500 ETF(VOO)が軟調です。
今朝、ふと思い立ってSBI証券の口座情報を確認してみたところ、やはりVOOは前日より下げており「買い増しタイミング到来の予兆を感じてのワクワク感」と「保有銘柄の評価額が下がったことによるガッカリ感」の入り混じる複雑な感覚に見舞われておりました。
しかし、よくよく確認してみると証券口座全体での評価額は増えており、「市場全体が下げてるんじゃないの?どういうこっちゃ?」と思いながらその原因を調べてみるのでした・・・というのが今回のお話の始まりです。
崩れ始めるインデックス
さて、軟調なのはS&P500だけではなくNASDAQ100も同様なのですが、この軟調相場の原因の大部分は「米国の政策金利引き上げ」だと思っております。
FRB(米連邦準備制度理事会)が行う、今年の利上げは7回(1回は既に実施済)、来年は4回と合計11回の利上げを見込んでおり、1回につき0.25%の利上げで計算すると最終的には2.75%の政策金利となります。(昨今のニュースでは一撃で0.5%上げちまおうかとかなんとか言ってるみたいですねw)
現在の米国は、過剰に上がったインフレ率を抑え込むためには、それくらい気合いの入った利上げを継続して行わなければならない状態になっているわけです。
さて、株式資産というのはその他の資産(債券、金等々)と比べてリスクの高い資産と評価されています。
つまり、金利が上がることで、リスクが低いと評価されている資産(債券)の利回りが上がるため、株式資産の魅力が相対的に下がり、株式にBETしてあったマネーの一部は、債券等の低リスク資産へと流れることになるのです。
従ってゼロ金利下では強かった投資家の握力も、利上げ環境下では「ちょっと決算がイマイチ」ってなっただけでもパッと手放されて(株が売られて)しまうのです。
しかし、全てのセクターの株が一様に売られるというわけではありません。
経済というものは以下の図のように、その時の景気動向や金利状態で強いセクターの株式は買われ、弱いセクターの株は売られ、その動きがグルグルと循環し続ける傾向があるのです。
この循環の流れの中で、その時強いセクターに次々乗り換えながら投資する戦略を「セクターローターション」と言いますが、売買手数料もかかるし、面倒臭いので富松は全く興味ないですw
これまでの米国はゼロ金利政策を導入しており、好景気(コロナ対策では国民にお金をバラ撒いて更に加速)だったので、上図薄青エリアのセクターが強く、ハイテク産業の株価が凄まじい伸びを見せていたのは記憶に新しいと思います。
しかし、ハイテク産業の多くは(利益の多くを研究開発費に回さないといけないので)無配当株が多く、(株式市場参入者の高い将来期待で)実際の業績に対して割高な株価になっているため、金利の引き上げによって株式資産の魅力が相対的に下がると株価の崩れ方も結構容赦ありません。
今後の米国経済はある程度停滞する可能性があるという見方が広まっているためか、高金利や不景気の元でも強い「一般消費財」、「エネルギー」、「生活必需品」セクターあたりが強く買われているみたいですね。
金利の上昇によって青のエリアが売られ、黄色や赤のエリアのセクターが買われるということですね。
実は、S&P500が下落しているにも関わらず、富松の資産が増えている理由もここにあります。
富松のポートフォリオの約半分は個別銘柄であり、しかも生活必需品銘柄を多く組入れているため、S&P500の下落に負けずにポート全体の評価額を牽引してくれています。
元々、市場全体の下落局面に対抗するために保有しているコカ・コーラ(KO)、ゼネラルミルズ(GIS)、エクソンモービル(XOM)といったディフェンシブ銘柄達が良い働きをしてくれているので、インデックスが下落している現環境下でも資産は増えております☆
以下は直近1カ月のHeatMap(S&P500)の状況です。
HeatMapとは各企業の騰落状況を視覚的に表現したもので「赤が売られている銘柄、緑が買われている銘柄。色が明るいほど(その売買の)度合いが強く、暗いほど弱い」という見方になります。
(四角の箱の大きさはその企業の時価総額の大きさを表しております。)
HeatMap上でも各セクターの強弱がハッキリわかりますね。
ハイテク産業がコケた場合の影響や如何に
さて、前述の通り、米国は今後も継続的に利上げし続ける(せざる得ない)状況なので、この「利上げ」というパンチが来年まで株式市場に飛び続ける事態は回避できません。
したがって「情報技術」セクターの企業は今後もジワジワと売られる可能性が高く、下図の通り、S&P500やNASDAQ100といったそこそこ「情報技術」セクターの保有比率が高いインデックスはその度に影響を受ける事になりそうです。
大きく下落するのであれば買い場になりそうですが、NASDAQ100に関しては半分近くが「情報技術」セクターなので下げのダメージが大きくなりそうですね。(なのでレバレッジをかけた投資をしている人は要注意です。)
VOOというインデックスETF1本で投資に臨むスタイルは投資効率や合理性という観点から素晴らしいと思います。
しかし、人間の心理(=許容できるリスク)には限界があるものなので、多少合理性を犠牲にしてでも「そのETFの弱点」をカバーするようなサテライト銘柄(またはETF)を配置することでポートフォリオ全体の防御力を高める事も重要だと実感した富松なのでした。
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