【書評】銭っ子
この漫画は富松が小学二年生の時に出逢った作品で、富松の中にあるお金に対する考え方のベースを築いた作品です。
この漫画はドカベンで有名な水島新司さんの作品ですが、原作はドロドロ系作品で有名な花登筐さんという方です。
かなり過激な描写が多い作品ですが、ラストは泣けます。
あらすじ
裕福な家庭で何不自由なく育てられてきた、中馬健。
(中学生、わがまま、甘ったれ)ある日、突然の交通事故で両親を亡くしてしまい、妹の亜子と2人きりになってしまいます。
健たちには両親の莫大な遺産が残されたのですが、親類たちは健たちを引き取る事を条件に遺産を勝手に分割してしまうのでした。
2人は神戸の親戚の家に引き取られるものの、学校にも行かせてもらえず、朝から晩まで奴隷の様に働かされて、様々な酷い仕打ちを受けますが互いに励ましあいながら必死に耐えるのでした。満足に食事も与えてもらえないため、父に買って貰った形見のカメラを売って食事をしようとしたものの、カメラまでも奪われてしまいます。
絶望した2人は天国の両親のもとに行くために、一緒に海に身投げしたのでした。
しかしガタロ船(海や川の底から鉄クズなどを集め生計を立てている)の優しい人たちに2人は助けられ、そこで生活していくことになります。
ある日、ガタロ船の船長が怪我をします。
健は船長を背負ってあちこちの病院を回りますが、ガタロ船の人間は貧乏人という理由でどこの病院も診てくれません。
「人はお金がないとダメなんだ」と悟った健は、金儲けをするために妹の亜子を残して旅立つのでした。
何の元手も無く途方に暮れていた健はある日、1人の乞食が金を恵んでもらっているのを見て自分でも真似をしてみるのですが、上手くいきません。
乞食は健に話しかけます。
「誰がそんな乞食に金をくれるか」
「帰れ。」と。
実はこの乞食は豪邸に住み、ベンツを乗りまわすほどの大金持ちなのです。
健のことを最初はただの家出少年だと思っていたその乞食は、話を聞くうちに、健の事情を理解します。
乞食は健に言います。
「世の中だますヤツは悪い。じゃが騙されるヤツもまたアホじゃ。」
「取り返したいなら同じ事をやりゃええのじゃ。」
「目には目を。銭には銭じゃ。」
「ほんものの銭もうけ教えたる。」
健はここから乞食(銭神)から金儲けのイロハを教わることになります。
~ さて、健の行く末やいかに ~
物乞いで飢えをしのいだり、復讐のためにありとあらゆる手を使ったり、株の話、土地取引の話なども出てきて、「よくこんな過激な作品が少年誌で連載出来てたなぁ」と未だに思います。
ただ少年誌であえてこの漫画を連載することで「お金の価値」を当時の子供たちに考えさせるきっかけにはなったのではと思います。
(少なくとも富松は考えさせられた挙句、かなり影響を受けていますw)
最後は感動のラストで「100円の重み」が分かるようになりますw
貧しい者が大きな富を得ようとした場合、多くの苦労を味わう事になります。
しかし、そんな中でも健は多くの失敗を繰り返しながらも学び、たくましく成長していきます。
そんな健の不屈の闘争心も見習うべき点があると感じます。
この本は多くの人に読んでほしい名作なのですが、初版が昭和47年の作品で、作品自体もはや入手困難なので文庫版等で再販してほしいですね。
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