【書評】定額制夫のこづかい万歳 ~月額2万千円の金欠ライフ~

2021年4月19日

今回は漫画のご紹介となります。

漫画家の吉本浩二さんご本人が主人公の作品で、「毎月少ないおこづかいで奮闘する夫達」のお話です。

この漫画は主に「少ないおこづかいという制限の中でも楽しむ方法はある」という希望が描かれえてはいるものの、「そもそもおこづかいをそんなギリギリの額に設定せざる得ない日本の経済状況」という負の面をも同時に感じざるえない不思議な作品となっております。

本書は独身の人に対しては「ある種の絶望」

既婚の人(特におこづかい制の人)には「共感とワクワク感」を与えてくれることでしょうw

富松はそもそも世界でも珍しい「おこづかい制」という

日本独特の謎文化に理解を示さない立場ですが、そういった主観に関わらず面白い内容なのでおすすめの漫画ですw

富松
富松

日本の1億総貧困時代がもたらした暗黒面(笑)

この漫画の恐ろしいところは、主人公(作者)及び登場してくる人々の「おこづかい額」が(少ないながらも)決して現実離れしている額ではないというところでしょうかw

主人公(作者)のおこづかい額は月2万1千円

その他の登場してくる人達も大体2万数千円代のおこづかい設定額となっており、よくTVなんかで紹介される「月のおこづかいは平均約3~4万円」という統計情報とかけ離れているように思いますが、それはあくまで平均値。

おそらく中央値だと2~3万円代なんじゃないかと富松は考えています。

日本の場合、世界の賃金ランキング(2019年)でも24位(平均賃金ではなく中央値での計算だから実態に近い順位のはず)と先進国中最下位レベルの低賃金国です。

しかもコロナの影響で仕事が減ったり、残業代が減ったりとサラリーマンの可処分所得は更に減少傾向にありますからね。

漫画は面白いけど日本のサラリーマンを取り巻く現状は笑えないッス

富松
富松

話の内容が身近であるがゆえに引き込まれる

本書は主人公(及び登場人物たち)が「毎月おこづかい2万円代」という絶望的な状況の中でも「日々の出費をどう考えながらどう楽しんでいるのか」という点がメインテーマとして描かれています。

酒もタバコもやらない主人公(作者)はお菓子が大好き。

毎月お小遣いの中から月1万円分はお菓子に費やすものの、その他の出費も考えると苦しいという状況の中、楽しみながら(?)毎月を乗り切っているようです。

月末は金欠気味になるので正にギリギリの戦いが繰り広げられるw

おこづかいを貰った直後はちょっと奮発したお菓子を買ったり、結構無駄なものに心を惹かれたりする主人公の思考パターンも典型的な「お金の管理が苦手な人あるある」で面白いですw

人が生活していく上で節約しすぎるのも問題があるのですが、「いかに安く済ませるか」というところを追及するのはある種ゲームみたいで楽しいという点は共感できます。

この感覚は・・・

駄菓子屋で「この手の中の100円でいかに今日一日を楽しく過ごすか」ということを真剣に考えた幼少の頃を思い出させます☆

主人公意外にも強力な(笑)キャラクターが登場してくるので様々な考え方や工夫に触れられるのは読んでいて面白いですね☆

たまにはドンキに行ってみようかなw
今流行のポイ活の話も出てきます☆

 

2巻が発売されるのが今から楽しみですww

(2巻は2021年2月頃発売予定だそうです☆)

まとめ

「おこづかい制」というのは「節約」という取り組みにおける施策の一つに過ぎません。

節約という行為の先に何を見据えるのかが重要ではあるのですが、この漫画はそういう「重くなりがちな話題」を一切排除して「安くても楽しめる方法がこんなにある」という点にテーマを絞ることで漫画全体のテンポの良さを確保しつつ、漫画の世界観の中から(金欠による)悲壮感を払拭している秀逸な作品になっています。

おこづかい制には否定的な富松ですが、「限られた経費(おこづかい)の中でも楽しみながらやりくりする」というスキルは所得レベルに関係なく結構重要な要素です。

本作の主人公一家の節約の目的は不明ですが、投資するにせよ貯蓄するにせよその原資となるのは

収入 - 支出

によって生み出されたお金になります。

例えば、転職するなり昇進するなりで年収が順調に上がっていったとしても、年収レベルに合わせて支出レベルも増加させてしまっては前述の投資や貯蓄に回す原資は作れません。

そして、世の中には「車」や「高級時計」「住宅ローン」「保険」といった支出トラップがそこら中に仕掛けられていますし、人間の「欲」というものにも再現がありません。

「モノを所有する」という行為は「管理コスト」や「維持コスト」が別途発生するものなので(インフレ率の考慮を除外したとしても)支出の増加というものは意識しなければ増え続けるように世の中は設計されているのです。

「経済」の本質は「消費活動」なので仕方ないことなんだけどね

富松
富松

つまり、可処分所得が減少傾向にある日本のサラリーマンが生き残るためには、以下のいずれかが対策となります。

  1. 本業や副業を頑張って所得レベルを維持し続ける(または上げ続ける)
  2. 減少していく所得状況でもお金をかけずに楽しめる生き方を模索し続ける

前者は過労やストレスで死にそうなので、長生きできそうなのは後者の対策ですかねww

(ちょっと話が脱線してしまいましたw)

正直言って、大人になってから「半額のシュークリームを買うかどうか悩む生活」は微妙ですが(状況としては面白いけどw)、こういった感覚はこどもの頃から学んでおくといいのかもしれないなと本作品を読んでいて改めて思いました。

今はほとんど無くなってしまいましたが、「駄菓子屋」の存在って幼少の頃から少額で「経済観念」や「やりくり」を学ぶ重要な場だったんですね。

漫画が好調に売れているみたいですね。

この流れに乗っておこづかいが増額されることを願っております☆

富松
富松

書評

Posted by tomimatsu