【書評】幸福の資本論

多くの人々は「今の時代の日本」を生きる中で様々な「生きづらさ」を感じる機会は多くあると思います。

(増税の話や、老後の経済的不安、少子化、外交問題等々・・・)

しかし、我々が「今の時代の日本」に生きているという事は奇跡と言うべき幸運な状況であると言えます。

世界を見渡せば「戦争」や「貧困」によって「その日の生活すら危ぶまれる状況」にある国は少なくありません。

また、かつての日本(昭和30年以前)となれば、身分差別、男女差別、犯罪率等、「今の時代の日本」と比べれば圧倒的に生きづらい状況であり、「豊かさ(=幸福)」は一部の特権階級のみが手にすることができる世の中でした。

しかし、現代では多くの人々が「豊かさ(=幸福)」の条件にアクセスできるようになっています。

一般人がユーチューバーや、株式投資、起業で成功したりするシーンを想像すれば分かりやすいかもしれません。

富松
富松

さて今回は、「豊かさ(=幸福)」を自分の人生に対して構築するための考え方が書かれている「幸福の資本論」に関してご紹介しようと思います。

本書は「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」でも有名な橘玲さんの著書になります。

幸福の土台は3種類

我々は「幸福」をイメージするとき、なんとなく「お金」を連想する方は多いと思います。

しかし「幸福」は「お金」だけで手に入れられるわけではありません。

人が「幸福」を感じるためには以下の要素が必要になり、それぞれ土台となる資産・資本が存在するため、「人生を幸福にしたいのであればその土台を理解し、構築をしましょう」というのが本書の主張となります。

幸福の要素幸福の要素を支える土台
自由金融資産
・現金
・株式
・不動産等々
自己実現人的資本
・自身の働く力
・専門性やスキルの高さ
共同体(=絆)社会資本
・家族
・友人
・人との繋がり

まず、幸福の要素の1つである「自由」は一番イメージしやすいかと思います。

「自由」であるためには(=嫌な仕事をせず、好きなことだけして生きていくためには)「経済的な独立」が必要になります。

つまり「自由」を得るためには「働かなくても生きていけるだけの金融資産」が必要になるということです。

これはFIREを目指す富松にもしっくりくる話ですw

富松
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次に「自己実現」ですが、これは「自分がやりたいことができる状態」ではありません。

「自分のやりたいことが社会貢献につながる状態」を指します。

これは「自己実現論」の提唱者である心理学者アブラハム・マズローもそのように定義しています。

「自分のやりたいこと」が社会の迷惑になる場合、「自己実現」とは言わないですよね。

富松
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つまり、自身が社会に対して提供できる労働力が大きい(=社会の役に立っている)ほど幸福を感じやすいということです。

そしてこの要素は医者や弁護士といった資格の必要な職業だったり、高度な技術を必要とする職業といったような「一般的に高収入な職業」ほど、「社会からの評価が高い(=人的資本が大きい)」という解釈になります。

だから皆、資格を取ったり、昇進しようと一生懸命頑張るわけですね。

富松
富松

最後に「共同体(=絆)」です。

これは「人とのつながり」から起因する要素なのですが、数値化が困難であるにも関わらず非常に重要な要素になります。

なぜなら「幸福は社会資本からしか生まれない」からです。

例えば、無人島で金銀財宝を手に入れたとしても、無人島から帰れなければ、それを話したり、共有できる相手が誰一人いない状態なので虚しいだけですよね?

また、どんなに社会貢献できる仕事をしていても、天蓋孤独で誰にもそのことを話せず、誰にも知ってもらえないという状況であれば同じく虚しく感じるものだと思います。

つまり我々は人間関係の中でしか「幸福」を感じられないのです。

「共同体(=絆)」に関して結論を言えば「誰とでも平等な繋がり」を持つのではなく「家族、恋人」のような「強く小さな繋がり」と「それ以外」の「弱く広い繋がり」を分けて持ちましょうということが推奨されています。

確かに「独りぼっちで幸福」という人をイメージできないですからね。

富松
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本書内ではこれら「3種の資産・資本」の特性を分かりやすく説明していたり、「3種の資産・資本」の保有パターン毎に人生を8つのパターンに分け解説していたりと「目からウロコ」な内容となっています。

貧困とは

貧困とは単にお金が無い状態ではありません。

前述の内容から「3種の資産・資本」を全く持たない状態が「貧困」となります。

「金融資産」が無いから労働しなければならない。

しかし「人的資本」も無いから単純労働(低賃金)しかできない。(もしくは労働そのものができない。)

そして「社会資本」も無いから、誰も救いの手を差し伸べてくれない。

貧困からの脱却が難しい点はこういった「八方ふさがり」が起因しているわけで、一時的にお金を渡した程度では解決しないことが分かると思います。

なので貧困に陥らないためには最低でも「金融資産」、「人的資本」、「社会資本」の内の1つは持つ必要があるのです。

逆に言うと「金融資産」、「人的資本」、「社会資本」のどれか1つしかない状態は「貧困」と隣り合わせなので気を付けないといけませんね。

富松
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まとめ

我々は「幸せになりたい」と願った時、具体的に何をすればよいか分からない人は多いと思います。

しかし、本書は捉えどころのない「幸福」というものに対して具体的なイメージ(形)を与えてくれる一冊となっており、「幸福」へのアプローチを具体化できる良書だと思います。

「幸せを求める人」は必読の一冊となっておりますw

富松
富松

かなり掻い摘んで紹介しましたが非常に面白い書籍でしたので、目次だけ載せておきます。

(気になる方は実際に読んでみてくださいw)

1.幸福の3つのインフラ

2.「最貧困」から人生を考える

3.人生の8つのパターン

4.お金と幸福の関係

5.マイナス金利の世界

6.人的資本は「富の源泉」

7.クリエイティブクラスとマックジョブ

8.サラリーマンという生き方

9.オンリーワンでナンバーワンの戦略

10.超高齢社会の唯一の戦略

11.友だちとはなんだろう?

12.個人と間人

13.うつは日本の風土病なのか

14.幸福になれるフリーエージェント戦略

15.「ほんとうの自分」はどこにいる?

橘玲著「幸福の資本論」より

書評

Posted by tomimatsu